会員登録/ログイン

その背中をいつまでも

1




『お前は考えが甘すぎるんだ、馬鹿者』




夕食後、留学したいと言っただけでそんな言い方をする親父。


家ではほとんど目も合わさないし会話もない。

たまに言葉を交わせばこの有様。


『もういい』


そりゃこんな言葉しか言えなくなる。



母親は歩く時も意見も何もかも、親父の三歩後ろにいる人。


『お父さんがそう言ったなら…仕方ないでしょ』




相談する気すら無くす。




高校三年の夏。

やりたい事は確かにないし、これといった夢もないし。


甘いという親父の言葉がやけに重かった。




適当に就職して、ただ何となく人生をおくるのだけは嫌なだけだろう?。

そう親父に言われ、図星だった俺は確かに甘いし、馬鹿者かもしれない。





あんたみたいな人生だけは、避けたいだけ。





バタン!と、わざとらしい音をたて自分の部屋へ入った。


読みかけの小説を手にとるけど、物語が頭に入らない。



『寝よう…』
小説にしおりも挟まずに、俺は眠りについた。

/22ページ 

週間ランキング