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父さん、あたしはあなたの子です

いきなりのこと

これだけは思い出すのも簡単なくらいはっきり覚えてる。それくらい鮮明なんだ。

中二の冬。三月頃だっただろうか。その日はいつもより肌寒く感じた。いつもどおり部活を終えて、いつもどおり母さんが迎えに来てくれた。

いつもどおりのはずだった。普通に他愛のない話をして、笑って過ごす毎日だと思ったんだ。なにも変わりはしない。

そんな確信をもってはいなかったけれど、誰もが思い描くのは、平凡な日常。

いつもみたいに母さんがいろんな話をしてくれると思ってた。

だけど、母さんは凄く真剣な表情で、目が凄く赤かった。

母さんは、離婚したと最初に一言口にした。

15歳にも満たなかったあたしには、まだ大人の事情なんてわかりもしなかったし、わかりたくもなかった。

「なんで?」

あたしが聞いても、何度も同じ過ちを繰り返したからとしか答えてくれなかった。

お母さんがわるいんよ、といった。

お母さんは追い出されたんよと…

あたしの親権はお父さんにあると。

「いらんいらん!行きたない!いきたない!

お父さんと暮らしたくない」

すぐに怒るお父さんがあたしは大嫌いだった。もしかして原因はあたしがいつも我が儘をいっていたから?

あたしは悲しくなって、

「あたしが死んだらいいねんやん!」

そうすれば、お金なんて使わずにすむやん!と言ってしまった。

親にとって一番聞きたくない言葉だっただろう。だけど、あの時は何も考えられずにひたすら母さんが戻って来てくれるように請うだけだった。必死だった。

けれど、その日母さんは戻ることはなかった。

結局あたしは、父さんのいる家へと帰った。近くまで母さんが送ってくれた後に涙をいっぱいながした。迷惑なくらい喚いた。

家に帰るまでずっと流した。これでもかというくらいに、お父さん、あたしはヤなんだよと知らせたくて…

あたしは、お母さんといたいんだよと訴えたかった。

どうしてこうなったのかさえも理解できずに…

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