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心変わり

1

医者に癌だと宣告された。

随分前から、胸焼けのような状態が、波の様に来たり来なかったりしていた。

夏休み。
その胸焼けの頻度が多く、辛さが強くなってきて、我慢できなくなったので、俺は母親に胸焼けがひどいから病院に行きたいと、伝えた。
吐きそうなのを堪えて、大丈夫なんだけど念のためと、元気な振りをした。
まだ高校2年生。まさか癌だとは思わなかった。


俺の癌はかなり進行しているようで、もう完治させることは、難しいようだ。
大分長い間ほっといたせいで、色々なところに転移してる可能性が、非常に高い。

1つ治したとしても、再発する確率が高く、それも1度で済むかは分からないそうだ。

「何故ですか?」
母は、声を振り絞って、言った。
一方俺は、何のリアリティーも感じることができなかった。
映画を見てる感じだった。

遺伝子的な問題だと思うと、医者は説明した。
遺伝子で、いつ癌になるかは、だいたい決まっているそうだ。
普通は、もっと歳をとってかららしいが、俺の場合は、それが結構早かったみたいだ。
運命的で吐き気がする。


全く働かない頭で思い出したのは、中2の時、癌で死んだ同じクラスの友達だった。

その友達は、1度目は治したが、再発で死んでしまった。

担任の先生は、最初、元気だから大丈夫だと言っていた。
事実、1度治った頃は学校に来ていた。

その友達が、また学校に来なくなった時、先生は癌が再発したと言った。
俺を含め、皆、死ぬなんて思ってなかった。
また治って学校に来るだろうと、思っていた。

そんな風にして、その友達がいない生活が続いたある日、いきなり葬式と告別式の連絡が入った。

それは突然の事だったので、俺は葬式には予定があり、告別式だけ行った。

友達の生前の写真を見て、驚いた。
チューブと口を繋がれ、ベットの周りに沢山の機械がひしめき合っていた。

それは、どう見ても死に突き進んでいた。

先生は、何も言ってくれなかった。
こんなになっているなら、お見舞いに行ったのに。
俺は、告別式の間中、その事をずっと頭の中で繰り返し、先生を憎んでいた。

まったく酷い話だ。
中学生だったからで、許してもらいたい。

何人かの友達は泣いていたが、俺は死んじゃったのかぁという感じで、翌日からの生活も、全く何事もなく過ぎていった。

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