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坂巻興信所 捜査依頼ファイルNo.1283 『ゴリラン』

プロローグ




寒空の下、ゴリランは年の瀬の雑踏の中にたたずんでいた。

行き交う人々は己の他に興味はなく、ただただひたすら目的の為に行動している。

そんな人たちをゴリランは小さな瞳で見つめ、何も語らず時折冷たい青空を仰いでいた。

何人かの人が、ただ立ちすくむゴリランにぶつかっていったが、そんな事には誰も気付かないでいた。


日が暮れ始め、辺りがどんよりと薄暗い闇に包まれだした頃。
ゴリランは堅く閉ざした口を開け、一言だけ「ショウちゃん…。」と漏らした。



街の灯が燈り、人の数もまばらになり始めた頃。

ゴリランの姿は消えて無くなった。


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