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うつらうつら

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身長百八十センチ、高校二年にもなる男子が同じクラスのこれまた男子を好きだと言ったなら、世間様からはあまり良い反応は得られないであろう。



春の麗らかな陽気につつまれながら、荒巻 乱歩は溜め息をついた。

「ねぇ、香山くーん。たまには私達とも遊んでよー。」

やけにスカートが短い女子数人に言い寄られているのは香山 瞬影。
乱歩は密かにその光景に視線を固定させながら、また溜め息をついた。

「駄目。」

瞬影は天然パーマの赤毛を指で弄りながら、面倒くさそうに応える。
それに、グロスでぬらぬらと光る唇を尖らす女子達。

「香山君って、いっつも年増ばっかりと遊んで私達と遊んでくんないよねー。」

不満げに紡がれた言葉に、瞬影は困ったように笑った。

「それはさぁ、好みの問題でしょ?」

俺にはどうしようもないし、ごめんね。
悪びれた様子も無い瞬影に、女子達は不満げだが、仕方ないとでもいうように笑った。

「もう、仕方ないなぁ。」

まんざらでも無さそうな女子。
面倒くさそうに溜め息を吐く瞬影。
それを誰に知られるでも無く、見つめる乱歩。
何時もの教室の風景。

「あ、ちょっとどこいくの?」

突然席を立つ瞬影に女子が怪訝そうに声を上げる。

「散歩ー。」

そう言って首だけ振り返った瞬影の目と、乱歩の視線が合う。
それは、ほんの一瞬の出来事で二人以外にそれを知るものはいない。

「えー、私も行くー。」

付いて来ようとする女子を手で制す瞬影。

「駄目。」

瞬影に制された女子の不満げな声が教室に響く。

「香山君の馬鹿ー!」

それに、思わず乱歩は苦笑いをする。
些か気まずさを覚えながら、未だ瞬影の消えた廊下を見つめる女子の脇を通り抜けた。

「あっ、荒巻君おはよう。」

女子のきらきらと効果音がつきそうな程の上目遣いでされた挨拶に、乱歩も出来る限り笑顔で応える。

「おはよう。」

それに女子が嬉しそうに笑う。
それを確認して、乱歩は振り返らずに瞬影を追った。

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