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亡命王女

~会戦~

 
     【1】



「邪魔だてをするな!」

「メッサーノ!貴様!」

 薄暗い洞窟内に、男達の怒号と剣戟の音が溢れていた。
 松明の灯りに照らし出される影のシルエットがユラユラと揺れる。

 戦っているのは冒険者風体の一団と、騎士の一団。
 冒険者風の者達の方が、数が少なく劣勢だった。

「我々は公王陛下の正式なる使者ぞ!それでもまだ刃向かうか!」

 1人の若い騎士が剣を構え冒険者風の者達に吠える。

「笑止!」

 冒険者風の男が1人、そう答えて若い騎士と剣を合わせた。

 苛烈な音と火花が散った。


 戦っている者達は元は同朋だった。
 同じ王に使え、誓いの剣を立てた仲間。

 それが今では追う者と追われる者。
 敵と味方に分かれている。

「こ奴らに構うな!公女を追え!」

 先程メッサーノと呼ばれた、騎士達のリーダーらしき中年の男が檄を飛ばす。
 指示を受けた数名の騎士が戦いの場を切り抜けて、洞窟の奥へと駆けて行った。

「しまった!」

 若い騎士と斬り結んでいた冒険者風の男、今は亡き“オルマー公”の近衛騎士ライオが叫び追おうとするも、時既に遅かった。

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