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胸に降る雨、胸に咲く花。-The last angel-

#1

 音が聞こえる。
 ザァ、と、大きく、小さく。何度も。
 それは決して不快な音ではなく、穏やかで優しく、心地良い。
「……」
 音と同時に、ひんやりとした感覚が体を包む。その感覚が消えたかと思うと、また包み込まれる。
 繰り返される音と冷たさは、何なのであろうか。
「――……」
 重い瞼を、ゆっくりと開く。視界に入ったのは、吸い込まれそうな青だった。
「おい、大丈夫かぁ?」
 青一色だった視界に、突然映りこむ人の顔。だが、それはとてもぼやけていて、何となく人と分かる程度だった。
 その人間は何かを言っているようだが、全く分からない。
 徐々に意識が薄れ始め、静かに目を閉じた。

 聞こえる。
 刻が動き始める、音。
 見える。
 零れ落ちる雫。
 それは、刻の涙。

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