会員登録/ログイン

へたな話

万年筆

 ボールペンでもいけなければ、勿論、鉛筆でもいけない。

 就職にあたっての虎の巻に載っていた。

 青色の万年筆が最適であるそうだ…いつの時代の本かと言えば、そんなに昔のものでもない。
 しかし、そんなことは嘘であると僕は思う。大体、僕らの世代ったら、字を書くこと自体、生意気とされ、どこぞの坊っちゃんじゃないのだから、勉強する時間さえ与えられると思わない方が良かった。

 そして、どうしても、男の子の字が汚い。これはどうも、賢さの問題でなく、許されねばならない問題を日本男児が、抱えている節を感じる。
 医者や文豪の字が、滅裂に見えるのが、それを確信に近いものにした。

 いきなり、驚くような字を僕らが書いてみたまえ、壇上から引きずり降ろされて折檻と相場が決まっている。

 子女の理由は、いつも何もやっていないからだ、というものだろう。しかし、何もやっていないでいられるのであれば、それは悟りに近い。

 許されねばならない、何かが、子女に理解できないのは大変残念だが、この事実に自ら気がついた人間が、形式を選ぶ必要のなさを考えることを信じたい。

 人生のレールに乗っていなければ、国民でさえないような振る舞いをする人間が少しでも、減ることを願い、今日も筆を選ばず、これが今日の「フォント(本当)」だと、笑いながら未来を佳きものへと、僕は頭を捻るのである。

/1ページ 

週間ランキング