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死と此岸/幻想受胎

第一章

 

 第一章


 散りばめられた蒼が乾き始める。零れる星を月が数えだすよりも前、少女は空を見ていた。
 場所は薄暗い森の中、時折鳥の影が少女を包み込む。
 ――美しい少女だ。
 聡明さが窺える顔立ちと慈悲に満ちた大きな瞳はあたかも世の真理を見据えているかのようで雰囲気だけ見ると少女は既に少女の枠ではない。
 ……老けではない何か。
 年相応の幼さは持っている。――持っているのだが、彼女の不意に見せる表情には年齢を感じさせない愁いがあった。

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