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勇者御一行様!?

旅立ち!?

「覚悟しろ、魔王!?」

 城の最上階。

 階段を駆け上がり、たどり着いた最後の扉を開く。

 張り詰めた緊張感もピークに達している。

 俺は、見たこともない魔王を倒すために、今まで戦ってきた。
 その魔王の姿を、やっと拝むことができるんだ。

 恐怖なんかよりも、わくわくする思いの方が強い。

 強い相手と戦えることに、わくわくしていた。

 が、開いた扉の中にそれらしい姿は、ない。

「ハル、いないみたいだぞ」
 魔法使い・ユキがのんびりと俺に向かって言う。
 こいつは、どんな時だって、マイペースだ。

「…隠れているわけでもない、よな?」
 剣士・ナツも辺りを見回しながら言う。こいつは、変に几帳面でたまにイラッとすることがある。

「…ねぇ、なんか聞こえない?」
 俺の肩にいる妖精・シロが言った。

 その言葉に、耳をすませると、確かに小さな声が聞こえた。
 声のする方へ行ってみると、手のひらサイズの小さなドラゴンが俺らを睨んでいた。

 ドラゴンを手のひらに乗せると、

『僕が魔王だ!?』

 信じられない事を言った。


 …なんて、可愛らしい。


 きっと、口に出さないだけで、みんな思っていることだろう。







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