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溺愛される上司 【R18】

プロローグ

就職して一ヶ月で行われた社員旅行。
ホテルの部屋で割り当てられた相手は、鬼と異名をとる新川主任だった。

気が重いと落ち込む俺を哀れんだのかただ単に邪魔なのか、新川主任は同僚がいる別の部屋で寝泊まりするように促してきた。

ラッキーと思ったのが半分、申し訳ない気持ちが半分。
いくら鬼でも、あからさまに部屋を抜けて一人にさせるのはかわいそうだ。

引き止める同僚に手を振って、割り当てられた部屋に戻った。



暗い中、シングルベッドでかけ布団から体を半分はみ出させて眠る新川主任は、小さく丸まって、自分を守るように両手で体を抱き締めていた。

いつも不機嫌そうに寄せている眉は柔らかな弧を描き、険を含んだ目は閉じていれば睫毛が長く繊細な印象になる。
小言を吐く口は小さく開いて、そこから微かに寝息が漏れていた。


――なんて幼い寝顔なんだろう。


まるで子供のように無防備な表情。
思いもよらずその寝顔に見とれてしまい、俺は頭をかいた。
綺麗な人だなと、初めて思った。


あの無防備な表情を目にしたのち、主任への印象は「鬼」から「童顔の鬼」に変わった。しかし印象的な場面から一年。……あれは幻だったのかもしれないと、疑念が沸き上がってきている。

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