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こくふくクラブ 三章 @失恋@

#1

 ここは克服クラブ。
 悩める子羊たちが今日もドアを叩く。
 求めよ。さらば与えられん♪

 ##♪##

 こん、こん、こん。

 優花は、高鳴る胸の鼓動を抑えつつ、そのドアを叩いた。

 何度も入部希望メールを出し続け、やっと昨日返事がきた。

 ずっと入りたかった克服クラブに、ついに足を踏み入れるときが来たのだ。

「どうぞ」
 室内からの声に、彼女は大きく深呼吸をしてからドアを開けた。

「こんにちはぁ☆」
 明るく挨拶しながら入室内したけど、そこには誰もいなかった。

 優花は拍子抜けして、作り笑いを引っ込めた。

 どういうコトぉ?

 緊張が解けたと同時に、少し腹立たしい気持ちにもなる。

 なによ、どうぞって言っておきながら。ドコから返事してたの?

 ちょっとムッとしながら部屋を見回した。

 すると一瞬、壁の一部が動いたように見えた。

 ん?

 目を凝らしてその部分を見ると、

 ゆらり。壁の木目模様がズレた。

 長い触手が8本。

 なんと、それは木目模様の保護色をした、巨大な蜘蛛!

 ソイツがゆっくり振り向くと、表側は真っ黒だった。

「ぎゃーっっっ!!」

 優花は大声で叫び、迫り来る蜘蛛をカバンでびしばしブッ叩いた。

「イヤぁー! あっち行け、この、死ね! 死ねっっ!」

 びしばし!×20、30‥。

 この固さ、本革のカバンかもしれない。

 頑張って耐えていた蜘蛛だったけど、あまりの痛さについに逃げる道を選んだようだ。

 ぱっと走り出そうとしたところを、優花にわしっと捕まれた。

「逃がさないよ! 退治してやる!」

 鬼気迫る優花の表情に、蜘蛛は「ひぇわっっ」縮みあがった。

「た、たすけてぇぇ~!」

 とか喋っちゃってるし。
 完全に人間(てか、佐藤)である。

 でも優花は、お構いなしに攻撃を続けようとする。

「この化け物! よくもあたしを驚かしたねっ」

 優花がカバンを高々と振り上げたとき、ようやく姫咲と凛堂が部屋に入ってきた。

「あはは。やっぱ佐藤くんに70点♪」
 相変わらず能天気なコメントの凛堂。

「ぜんっぜん笑えませんわ」
 姫咲はムッとしている。
「あんなイジメ方では、佐藤くんのM的才能が発揮されませんもの」

 二人の突然の登場に、優花は一瞬ぽかんとし、振り上げていたカバンをとりあえず下ろした。
 ばしっ。
 佐藤にヒット。

 それから慌てて泣きそうなカオを作り、
「怖かったぁぁ、凛堂さまぁ~!」
 などと叫んで凛堂へと駆け寄って行った。

 今度は凛堂がゲッ! て表情になり、姫咲はニヤリと笑った。

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