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元・バスケ部シリーズ

俺らの事情

大学を卒業してから久しぶりに地元に戻ってきた。
大学に在学中は地元まで新幹線でもかなりの時間がかかることから地元には全くよりつかなくなっていた。まあ、戻ってきたくなかった理由もいろいろあるのだが…。こっちでの就職が決まったからと連絡を取った高校時代の友人の中田が高校時代につるんでいたヤツを何人かを誘って一緒に飲もうといってくれたのは一週間ぐらい前だった。

だが、昨日になって俺が地元に近寄らなくなった理由である、柏原眞緒(カシワバラマオ)を誘ったとほざきやがった。
正直なところ行こうか、行かないでおこうか、とても迷っていた。

中田によると、
「あれからもう5年も経ったんだし、眞緒はもうあんなことしないだろう。大学時代も普通に彼女を作って普通に生活してたし。むしろモテて女に困ってなかったぐらいだ。あのことはただの気の迷いだったと思えばいい。」
だと。

まあ、中田の言葉で勘のいい人は分かってくれたと思うが、何を隠そう俺、岩波蓮(イワナミレン)は高校3年の春、強姦された。……親友の柏原によって。

柏原とは、中学生からの仲だった。小学生のころからバスケをしていた俺は、中学に上がってバスケ部に所属した。そこで柏原とであった。おとなしめな性格であまり目立っていなかった俺とは違い、いわゆるイケメンと呼ばれる外見で注目されていた柏原とは、同じ部に入っても全くと言っていいほど仲が良くなかった。

俺と彼が仲良くなったのは、中学2年の夏。3年生の先輩が引退してからすぐだった。それまでは、必要最低限も話さなかった俺たちだが、短期間で親友と呼べるほど仲良くなった。それは、先輩の引退がかかった県内屈指の強豪校との試合に負けた翌日から柏原がしつこく俺に話しかけてきたことがきっかけだった。本当に1年半仲良くならなかったのが不思議なくらい。

柏原とはとにかく話が合った。なぜ、彼が俺に話しかけてきたのかはわからない。
どうして、キラキラに囲まれた彼が俺と仲良くなろうと思ったのかもわからない。

ただ、柏原と一緒にいた3年半はすごく楽しかった。とにかく話しているだけで楽しかったし、一緒にゲームをやった時もすごく楽しかった。映画だって見に行ったし、ボウリングだって言ったし、高校になって一緒に入った部活でもバイトでも嫌な思い出なんて何もない。まあ、彼のファンから少し嫌なことを言われたけど…。それだけだ。

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