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Love Melody

告白

それはとても綺麗な旋律だった。透き通っていてけど深みがある。
楽しそうに鍵盤を叩く先輩の姿に、僕は恋をした。

♪ ♪ ♪

猛勉強して入学した大学。スクールライフを満喫するため僕―斉藤 涼はとあるサークルに入った。
サークル名は『BGM研究会』
友達には散々ふざけたサークルだとからかわれた。
けど、元々音楽が好きだったしゆったりとしたその雰囲気が気に入っている。
部屋にはいつも何らかの音楽が流れていた。曲調が穏やかなものもあれば踊り出したくなるような軽快なものもある。
毎回違うCDを持ってきてかけているのは天城 昴先輩。染めていないという髪は濃い茶色で少し垂れた目が印象的な人だ。
 先輩はいつも曲に耳を済ませながら目を瞑っている。最初は眠っているのだと思っていたのだけど質問すれば即座に答えが返ってくる。嫌み付きで。
そう。先輩は見た目に反して口が悪いのだ。なんたって初めての活動で言われた言葉が
「誰だ、お前。」
なのだ。
最悪の第一印象だった。
なのに。
「好きだ、涼。」
二人きりの部室で告げられた言葉。冗談、どっきりという単語が頭に浮かぶ。
笑い飛ばせば良かったのかもしれないのに、先輩の目を見たらそんなことはできなかった。
真剣のそのものの目。そしてその中に見え隠れする不安。
僕の予想を打ち壊すには充分だった。
さっきから微動だにしないこの人はきっと返事を待っている
返事。
僕は確かに先輩を好きだ。ピアノを弾いていたのを見たあの時から、ずっと。
意を決した僕は目の前の相手に向き直る。真剣なそれと目が会う。息を吸い込みたった一言。
「ごめんなさい。」
そして逃げるように部室を出た。
 

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