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二時間三万円の恋

プロローグ

金色の髪をした青年が一人、寮の自室でソファに深く座りくつろいでいた
学校の寮の一室と聞いても、誰も信じないようなその部屋は、気後れさえ人に覚えさせる豪奢なものだった。
しかし、年齢的にはほんの子供であるはずの青年の様子はゆったりとしていて。その自信を漂わせた精悍な顔立ちからも均整のとれた体つきからも、子供っぽい危なっかしさは微塵も感じられない。

テーブルの上に置かれた発泡性のミネラルウォーターを手に取る。キャップを開ける。口をつける。

たったそれだけの動きさえ、人目を惹き付ける華やかさに溢れ、野性味と優雅さが洗練されて同居している。

カチャリ。

不意に浴室のドアが小さな音を立て開かれ、その音に青年が視線を向ける。

「シャワー、お借りしました」

ドアの影から出てきたのは、黒髪をした小柄な少年だった。
どこかアンバランスで頼りない、成長期独特の華奢な体をしたその少年は、キッチリと制服を纏っていた。
その締められたネクタイからは清潔感が漂い、そこに先ほどまでの情事の余韻は感じられなかった。

静かな動作で青年に歩み寄る。

青年の前に立った少年が、座ったままの姿を見下ろしためらいがちに口を開く。

「あの……会長」

「なんだよ」

「言いそびれていたんですけれど……」

そこまで言って、上半身裸のままだった青年の二の腕についた爪痕に、ハッと目を見開く。
慌てて視線を逸らした。
その仕草は幼く純朴であると同時に、甘い香水が香るような色香を持っている。

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