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Guardian ~導きの歌声~

序章

 目の前には古びた修道院、俺はその扉をゆっくりと押し開けた。
(歌?…これは賛美歌か?…どこか懐かしい…ダメだ思い出せない。あっ!!あれは…)
大聖堂の先、大きなステンドグラスの下で光に照らされ、一人の女性が透き通るような歌声で歌っている。俺はただ、引き込まれるように、その女性の方へと歩みを進めた…

  ピピピピピピピ!!

 がなるような目覚まし時計の音に俺は目を覚ました。
(どうして、今になって…)
幼い頃によく見た夢、もうとっくの昔に忘れ去っていたのに、何かを知らせるように俺の脳裏に戻ってきた。漠然とはしているが何かとてつもなく悪いモノを連れて…

 がなる目覚ましを止め、ベッドから起き上がり、カーテンを開けた。窓から目を瞑りたくなるような眩しい朝陽が部屋に広がる。この何気ない1日の始まりがとても幸せに感じた。
「やっぱ、日本はいいねぇ」
そう言いながら、テレビを点けると、朝のニュース番組をやっている。俺はそれを見るわけでも無く、そのまま洗面台に行き、歯を磨き、顔を洗って、鏡を見た。そこには見慣れた自分の顔が映っている。余り気にはした事はないが、俺の顔は人の目をひく、今に始まった事じゃない、生まれた時からずっとだ。なぜなら俺の片目がグリーンだからだ…

 父親は日本人、母親はドイツ人…らしい。幼い頃の事は余り覚えていない、物心ついた頃から日本にいて、父親と二人で暮らしていたが、その父は4年前に他界した。母の事はまだ父と暮らしていた時に少しだけ聞いた事があるくらいで、俺自身は覚えていない。ハーフなど今時珍しくも無いだろうが、それでも俺の目は人の興味をそそるらしい。

 タオルで顔をふきながら、リビングに戻り何気なくテレビに目を向けた。
「…次のニュースです。今日、午前8:40頃、フランスから新鋭の信仰団体【ユグドラシル】の創始者ヨハネス・テルミオドール氏が来日しました。ユグドラシルは日本にも支部を置き、数多くの信者を抱えていて、明日の夜には東京支部で大規模な集会が予定されているとの事です。」
「新手の宗教ねぇ~、胡散臭いカッコした爺さんだぜ。」
テレビに向かってそうぼやき、服を着替えた。


その時、微かに俺の頭の中をあの夢と歌声が流れた…


着替え終わると、俺はテレビを消し、足早に部屋を出た。今日は数年ぶりに友人に会う。俺の事を偏見も無く理解してくれる数少ない友人に…

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