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藤が丘の君

はじまり

いつからか、覚えてはいないけれど

僕が、サラリーマンとして芝浦にある電気メーカーに
勤めるようになって。

この電車に乗るようになってから、ずっと、のような
そんな気もする。

毎朝、ずっと.....



僕は、渋谷で山手線に乗り換える。

それまでの一時間近く、彼女はずっとこうしている。
そして、渋谷に着くと
なぜか、ごく自然にすっと立ち上がる。
そして、雑踏に消えていくのだ。

かぼそいシルエットを僕は、見送りながら
地下線から高架の、山手線への階段に向かう...

それも、いつもの事だった....。


...そう、回想すると
はじまりはたしか...

5月のはじめ、連休明けに
僕が、青葉台に来てからの事だった。

サラリーマンになったり、
大きな会社のオフィスに通勤したり。
何もかも慣れない中、でも
ちょっと都会の通勤電車に
毎日乗ってみたい...
そんな、ちょっと幼い憧れを持って
初めての朝、青葉台の駅へ
7時に向かった。

朝7時の急行、渋谷行きは満員で
とても乗る気にはなれなかった。たった15分早く着くだけで、疲れてしまうだろうし
それに、どのみち芝浦のオフィスビルに着くのは
始業時間の30分近く前なのだ。

そう思い、僕はステンレスが銀に輝く急行を
見送った。

5分あとには、各駅停車がのんびりとホームに滑りこんでくるのだ。

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