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序章

あの橋を渡ろう。
あの美しい七色の橋を渡りに行こう。
英雄の住む国に続く、あの虹の橋を渡ろう。
滅びる為の戦いを 永遠の宴の中で 待ち続けよう。


BI― FROST

愚かな事を、と少女は唇を噛み締める。歯形どころでは無く血が滲むほど強く噛み締めたのは、彼女の記憶にある限り二度目。
口に出せない怒りを込めて、紅の瞳で目の前に立つ男を睨みつけた。
「これは、国民の総意だよ?《マイスター》」
「否、だ。 あの時も断ったはず。」
「だからこそ、今回もお願いしたい。貴女はあれらの母親だ。」
「冗談では無い、今度こそ食われるぞ。科学は万能では無いと何度言ったら解る。」
「それでも、やって頂く。このままでは我々が食われてしまう。」
ねぇ、《マイスター》と灰色の軍服を着た男は強化クリスタルの壁越しの少女に対して勝ち誇った笑みを浮かべていった。少女の紅玉のような瞳が壮絶な怒気に染まる。
だが、彼女が敗者である事は誰より彼女本人が一番良く知っていた。

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