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悪魔と少女。

出会い。


あるところに一匹の悪魔がいました。

彼はそれはそれは悪魔らしい悪魔で、ヒトの魂が大好物でした。だから彼はいままでにたくさんの人間を騙し、絶望させてその魂をいただいていました。

そしてそんな悪魔はある日、一人の少女を見つけました。
その少女は同じ人間の子どもたちから、『悪魔の子』と呼ばれて石を投げられていました。
あれは、いじめや迫害、差別といった人間が同族同士で行う愚かな行為の一つです。
その光景に少し興味を覚えた悪魔はその少女が一人で泣いているところに行き、問いかけました。

「どうしてお前は悪魔の子なんだ?」
「……あなたはだれ?」
「それをお前に教える意味はないよ」

当然、少女は突然現れた悪魔にびっくりしましたが、彼は悪魔らしい悪魔でしたので答えてはあげませんでした。
ですが少女は優しい優しい少女だったので、悪魔の問いかけに素直に答えます。

「わたしのね、この髪と瞳の色が悪魔なんだって。それでね、わたしを産んだ日にお母さんが死んじゃったから、わたしのせいなんだって」

少女の話に悪魔は本当に人間というのは面白い生き物だと思いました。
赤い髪に青い瞳、悪魔には色などないのでその二つでどうして少女が悪魔ということになるのだろう。それに少女を産んだ母が死んだというのも、人間とは脆い生き物なのだから仕方ない事だというのに。

「愚かだな」
「…おろか?」
「お前たち、人間のことを言うんだよ」

自分を不思議そうに見上げて来る無知な少女に悪魔はにやりと人間で言う、嘲笑いを浮かべて少女に向けて言います。それは、少女に向けられた悪意の言葉でしたが、無知な少女にはそれは伝わりません。ただ少女は悪魔の言った言葉を一つ、覚えました。

「わたしもおろかなの?」
「ああ、人間だからな」
「…あなたは?」
「私は違う」

だけれど、ここで悪魔は一つ失敗してしまったのです。
悪魔はこの年頃の子どもの好奇心という恐ろしいものをすっかり忘れていました。
悪魔から一つ言葉を教えてもらった少女は更に悪魔のことを知ろうと聞いてきます。
それには先ほど答えてもらえなかった問いかけも入っていました。

「嗚呼、馬鹿なことをした」

悪魔らしく、意地悪で面倒ごとが嫌いだった悪魔はそう呟くと少女の前から姿を消してしまいました。

そして悪魔は少女に抱いた興味も忘れ、自分の腹を満たすために獲物を探します。

さぁ、今日はどんな魂を食べようか。

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