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シロの野望

野望は寝て待て(壱)

「犬と呼ぶでない!我には“シロ”という母上がつけてくださった名前があるのだぞ!」

まったく…最近の子供は礼儀がなっておらん…。

我の名はシロ。

ルミ子さん(以降、母上と呼ぶ)の下でお世話になっている。

母上は我にとってもっとも信頼できる人間だ。

食事も素晴らしいものを用意してくださるし、いい寝床も作ってもらい、今は快適なハッピーライフを送っている。

「ただいま~」

遠くから手を振る子供が、こっちへ向かって走ってくる。

「元気だったか、シロ」

我の顔を、まるでおもちゃを扱うようにこねくり回す。

くそっやめろ!それで我が喜ぶとでも思っておるのか、こやつは…。

この子供は、さとる。母上の一人息子である。

しかし、さとるという奴はまったくもってダメなのだ。

お手におかわりまでできてしまう我が言うのだから間違いない。

学校という場所で教わる勉強というものも苦手らしく、母上も毎晩のように目を真っ赤にしてお叱りになっておられる。

運動なんて以っての外。毛並みも我のほうがツヤツヤだ。

とにかくどうしようもないクズなのだ。

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