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潮騒

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    完結
    2020/2/11 更新
    潮騒/  のこり湯
    総閲覧数(306) レビュー数(0) しおり数(0)

    作品紹介

    喀血した。
    幾度めかの其れは恐怖や苦しみを凌駕して、
    白い浴衣に放たれた血液は幾筋にも広がって、まるで打ち上げられた花火の模様。
    我ながら良く出来たものだと感心した。
    潮騒を背中で感じた。
    打ち寄せては肺に留まり引いてゆく。
    彼奴とまた会えるかな。
    ゆっくりと帯を解いた。

    地元を離れて其れなりに年月も経た。
    歳を跨ぐ毎に故郷との距離が遠のくとゆうありきたりを実行中だ。
    半分は何となく半分は未だ親の都合と夢を一偏に叶えられそうにないからだ。
    (帰ろうか・・・)という気持ちを土産を渡した後の「それで・・・」とゆう期待に満ちた両親のあの目が更に遠のかせる。
    其れでも偶に気が向くのは
    夏になるとざわつくのは
    真白い顔の中で悪戯に笑う薄い唇を思い出してしまうからだ。

    彼奴が帰ってくる時は決まって電話をかけてくる。「何で?」と訊くと「癖。」とポツリ。
    「知ってる。」と笑って受話器を置く。
    なんて素敵な癖だろう。
    受話器から手が離れない。
    躰をもたれさせて此の侭眠ってしまいたい。

    海が夕陽で化ける頃
    奴がのたのたと砂浜をやって来るのが見える。
    華奢な脚が砂に取られ今にもスッ転びそうだ。
    「あれは走っているつもりかねぇ。」
    自分から近付いた方が早そうだ。
    脚が縺れるのと同時に奴の腕を掴んだ!
    奴は素っ頓狂な顔で見上げると薄い唇で笑った。
    「よう。」

    気だるさの中から
    「酒!」とゆう声が聴こえた。
    買って来なきゃ。あと、あと、何か肴。
    ガタガタと戸棚を引っ掻き回して何時貰ったかも忘れた紙幣を懐に入れると酒屋へと走った。店では親爺が始めて象を見たような顔をした気がしたが、為るべく通る声で欲しい物を告げ金を払うと親爺の心配気な眼差しを後にした。
    家に着くと早速買ったものを畳に並べて風呂敷に詰め込んだ。自然に彼奴と居られる様に。下心を悟られない様に。
    「嗚呼 其れと・・・」
    筆を取った。

    「随分重いな。」
    奴の脚を縺れさせた犯人をひょいと奪うと
    「何が入ってるんだ?」と覗き込んだ俺の目を奴の細く隙間だらけの指が塞いだ。
    「開けるのは未だだ。」無垢れて言う。
    「へいへい。」応えると同時に奴の手を掴んだ。「此の方が早い。」奴は悪戯顔で「助かりますわ~。」と言う。
    何気なく海を見た。潮騒が啼いていた。

    背中の荷物を奪われると重石が外れて宙に浮く面持ちがした。
    (ふらついたら駄目だ!)
    足の指を砂に突き刺す様に歩いた。
    ふと目をやると彼奴が風呂敷の間から中を覗こうとしていた。
    咄嗟に手が出た。やばい、可笑しかっただったろうか。
    彼奴は一瞬キョトンとしたが、返事と共にオレの好きな顔をして手を繋いだ。
    手を繋いだ。手を繋いだ。
    握り返したら変だろうか。喜びでまた宙に居ないだろうか。
    背後で潮騒が高く高く啼いた。

    「抱いて・・・くれないか・・・」
    酒を酌み交わし肴を齧る合間に奴が言った。
    打ち捨てられた網小屋 此処が俺達の酒宴の席だった。取り敢えず乾杯して飲み干すと奴が胡座をかいて右肘を膝に乗せ手を顎に当て頭を支える。
    奴が話しを聞く時の何時もの体勢だ。
    何故か俺ばかりに話しをさせたがった。
    話し下手な俺はたどたどしく言葉を紡ぎ、奴と会ってなかった間のなんて無い日々の話しをする。近所の変わり者の婆さんの話し、同僚が娶った話し、何となく行った映画館で割と良い作品だった話し。中々片付けられない溜まった酒瓶の話し。
    俺だったら、つまらな過ぎて欠伸が止まらなくなる様な話しを楽しそうに聞いている。
    喉を潤す為の酒を注ぎ、一つ終わって間が開くと「それから?」と目で訴えかける。
    そんなこんなが延々続くのだ。
    そして夜更けに気付く、これは俺の下らない日常であって、奴にとっては全て未知の物語だと
    。悟ってしまった事を悟られないように眉を顰めて笑うと何事も無かった様に続けるのだ。

    しかし奴は「抱いてくれ」と言った。夜更けの手前、蝋燭の灯に頼るもとない世界で。両膝に置かれた拳が固め過ぎて青白んでいる。閉じられた唇は真一文字に震え、両の眼は和紙に落とした薄墨の様に滲んでゆく。
    ただ顔だけは決して背け様とはしなかった。
    きっと冗談と一蹴したら
    「引っかかったな。」と馴染みの悪戯顔で俺に酒を勧めるんだろう。其れだけはしてはいけないと思った。そんな事は屑のやる事だ。
    今奴は始めて語ろうとしているのだ。
    聴いてくれと懇願しているのだ。
    どんなに途切れても拙くても小さくても語り尽くすまで幾らでも聴いてやる。やらねばならないと思った。
    腕を引っ張って奴を抱きとめた。ふわりと簡単に腕の中に収まった。身動ぎもしない。
    きっと先程と変わらぬ姿で収まっているのだろう。少しだけ抱く腕に力を込めた。
    ピクとしておずおずと両腕が背中に回される。頭が委ねられるのを感じた。
    そして其の儘止まった。
    暫く二人でそうしていた。泣いているのが分かった。背中を摩った。何度も摩った。
    ゆっくりでいいんだと。

    奴の両手がたどたどしく俺の腰から胸元へと這い、顔は上げずカタカタと震える指先でシャツの釦を外そうとしている。仄明かりでさえ奴の項が、小さな耳が、朱く染まっているのが見える。無理をしている両手首を片手に収めるともう片方の手で頭を撫で、一旦離すと自らシャツを脱ぎ捨て、慌てて再び引き寄せた。そうでもしないと手の届かない処まで一瞬で離されてゆく気がした。そっと胸で抱きとめてからゆっくりと奴の顔を上に向かせる。両手で包んだ面立ちは白い額に張り付く髪と泣き腫らした瞼に引かれた紅がいつかの花嫁行列を思わせた。目元に残る涙を啜り、舌で縁を辿ると頬にくちづけ、唇を掠め反対の頬に、そして強く唇を吸った。

    「抱いてくれないか。」
    自分で言っておきながら、狡い逃げ道が過る。
    彼奴が笑ったら?引いてしまったら?
    取り付く島もなく、いつものように
    「引っかかったな!」と放って彼奴の盃に酒を注ぎ「ふふふ、まだまだ甘いな。」などと言っていつも通りに・・・・・・
    ゆくだろうか。涙が溢れたりして仕舞わないだろうか?バレて友でさえも居られなくなって仕舞わないだろうか。其れだけは厭だ。絶対に厭だ!
    でも・・・
    突然腕を引っ張っられた。すっぽりと彼奴の腕の中に収まっている。柔らかくオレを抱きしめる腕が力強くなる。応える様に腰に手を回すのがやっとだ。始めは静かにハラハラといつしか嗚咽に変わり止め方が分からない。
    厭だ厭だと心が叫ぶ。此奴を失うのだけは厭だと。背中に暖かさを感じる。其れは何時までだって続くんだろう。逃げ道なんて必要なかった。此奴はそういう奴だ。背中に暖かさが広がってゆく。大丈夫。大丈夫だよと。

    目頭がどんどん熱を持ってゆく。だからとて、このままとはいかない。彼奴の形に固まってしまった両腕を解き、這わせると慌てて胸元にしがみついた。一瞬離れただけでも消え去ってしまう気がした。自分が誘ったのだから・・・釦に手をかけた。意志に反して手の震えが止まらない。寧ろ酷くなっていくばかりだ。余りにも難しいこの知恵の輪は気持ち迄を削ってゆく。
    手首に温もりを感じた。頭に置かれる掌に焦りが消し飛ぶ。彼奴は目の前でいとも簡単に知恵の輪を引き千切った。再び引き寄せられると頬が肌に触れた。胸の鼓動が鼓膜を震わせるのが心地いい。此の儘沈み込んでしまいたい。再び涙が溢れる。そっと頬が手で包みこまれる。温かい温かいなぁ。
    彼奴の唇が瞼に触れて、舌を這わせる。
    舐めとられる感触に肌がクスクス笑う。探る様に頬を辿る唇が薄く開かれオレのを強く吸った。魂さえも吸われてしまいたかった。

    褥は奴の開いた浴衣のみで痛くはなかろうかと心配しながらゆっくり倒そうとすると、首に回した腕を離そうとしない。再び羞恥が顔を出したのかと思ったが、奴の首筋が蒼く冷々としているのを見て、別の理由で躊躇しているのが分かった。
    「お前の持ってるものだけで語れば良い。俺は聴き逃したりはしないから。」
    囁くと重なったまま褥に寝かせ、どこまでも白く細く華奢で、しかしその中に凛とした一筋に張った月を見た。
    呼吸する度に隆起する薄い胸には僅かに色づいた突起があった。奴の首筋に顔を埋め、片方の其れに触れるとしっとりと熱を持ってゆく。両肩に添えられた奴の手に力が籠る。構わず首筋に何度も吸い付いた。薄い皮膚に花弁が浮かんでゆく。眉を顰めて耐える唇を舐めると僅かにほころんだ隙間に舌を滑り込ませる。舌先が歯にあたり、更に進めると柔らかな小さな舌に辿り着く、びくともしない其の表面を叩き、持ち上げ、先端を唇で吸った。語るのを促し、言葉を探した。其れは恐ろしく震えてはいたが食むなく奴の返事だった。チロチロと絡めているつもりであろう舌はカタコトではあるが言葉を紡ぎ、応え始めた。

    絡まる事に慣れた舌は文章となって流れ込んでくる。惜しみながらも離れると別の言葉を探すべく鎖骨を咥え、舌を這わせると白い肌に花が咲く。突起を愛撫し、軽く食むと吐息の間に甘い悲鳴が上がった。しかし其れは淫靡さよりも、赤子の産声を連想させる。
    (もっともっと俺に話せ。)
    白い幹に上へ下へと花が咲く。吸われる度素直に声が漏れる。しかし舌先が下腹部の先端に触れると、咄嗟に細い指が間に入り込み、か細い声で否々をする。指の間に自分の指を差し入れ強く握ると脇へゆっくりとずらす。もう片方の手で顔を覆い愚図る奴のものを口に含み吐精を促す。
    啜り泣きに吐息が混じり、次第に大きく荒々しくなってゆく。顔を覆っていた指がいつしか俺の髪に食い込み、「嗚呼っ」と叫んで浮かせた腰を落とすとぐったりと横たわった。
    息を切らす奴を見下ろしながら苦い粘液で溢れた口内に指を含む。
    奴の腰を片腕でぐいと引くと四つん這いにさせる。次に起こることを察し身体を強ばらせ晒した項の再びの朱さが愛しくて愛しくて奴の背にそっと被さった。背中に唇で紅い華を咲かせながら奴の深層に入りこじ開ける。悲鳴を上げ咽び泣き堪らなく喘ぎ、只々俺の名を喚ぶ。振り向かせて奴の中に更に入り込む。語る合間にくちづけで相槌を打ち、羞恥も戸惑いも消えた奴は只管俺に語り、ひとつ終わると容赦なく突き上げ次の話しを催促する。奴の声が枯れ尽きる迄何度も何度も。同じ台詞を繰り返した。
    「それから?」

    彼奴は慎重に慎重にオレを横たわらせる。まるで赤ん坊に湯浴みでもさせる様に。此のまま硬い褥に浸かってしまうのも良いかも知れない。そう思った刹那、肋の浮いた現実が見えて、慌てて彼奴の首にしがみついた。なんてみっともない。ゾっとして血の気が引いてゆく。
    ふいに耳元に風が吹いた。温かい囁き。
    腕を緩めた。オレを彼奴が見ている。
    苦しい。寒い。でもどこかにこっそりと喜びもあった。彼奴の指が肌に触れた。途端全身の血液がマグマと成りあらゆる場所に駆けてゆく。彼奴がオレの内に熱と重みで潜っていき、首筋に幾度となく血潮が噴き出すのを感じる。
    なんて甘く甘い。
    見開いた眼から露が湧く。最後の枷が弾け飛んだ。唇が触れ、もっともっとと催促する。滑り込んできた舌はまんべんなく口内を探索し、オレの言葉を引き摺り出そうと容赦なく舌を吸い上げる。必死で応えた。拙い途切れ途切れの言葉。繋がった粘液、糸電話。

    昔、本で読んだ事があった。
    或魚は行為が終わると小さなものが大きなものに吸収されて只の一機関に成り果てるのだと。羨ましいと思った。頭もあげる。心もあげる。彼奴の中でゆっくりと蕩けてゆく自分を夢想して布団の中で丸まった。
    鎖骨に噛み付かれ、淡かった突起は激しい愛撫に腫れぬらぬらと艷めく。それでも許さぬと食み、口内で犯される。喉から声が溢れ出た。生まれて二度目の産声。彼奴が触れる場所から此の身体さえ蕾がほころんで芳しく匂いたつ。柔らかな霞に覆われて此の外にはきっと何もない・・・
    下腹部に知らない感触がした!
    彼奴が股に顔を埋め、舌先で間探っている。
    弾ける様に手が伸び、すかさず割って入る。
    心地良さに埋もれていた羞恥心が三度顔を出し、小さな子どもがふるふると首を振る。
    しかし許されず、手を握り退かされると隙を与えず啜り、舐めあげる。直視出来ずもう片方の手で顔を隠した。震えると彼奴が握る掌に力を込める。大丈夫と。頑なな羞恥心でさえも抗えない快楽が胎を這い出て一箇所に溜まってゆく。彼奴の黒い髪を無茶苦茶にし、濡れる声をあげ、果てた。
    彼奴がゆっくりと被さり、労りのくちづけを背中に散らす。幾度も、幾度でも。
    其の儘腰を逞しい腕で掬われ、背中に愛撫を続けながら後ろに指を割り入れ、そろりそろりと
    其所を撫でる。身体を支える両腕がぶるぶると震える。彼奴が入ってくる。息が、腹が軋む。
    彼奴が進める度身体が無理だ無理だと否定する。呑みこみ終わると同時に悲鳴をあげる。
    しかし、歯を食いしばって次を飲み込んだ。
    此奴は優しい奴だから辛いのがバレたら直ぐ様辞めてしまう。心が勝った。少し馴染んだ頃振り向き、抱きしめあった。揺さぶられる度彼奴の名を叫んだ。舌を絡ませ、突かれる度に喘ぎ、また彼奴の名を喚ぶ。本当は耳元で
    「愛してる。」
    と囁きたかった。喉元にせり上がって来るとくちづけで蓋をした。だから粘液で体温で全てを語った。言葉は鋭い。発したら相手を捕らえてしまう。其れは罪だ。残してはいけない。
    彼奴の真心に懐(いだ)かれて柔らかな霞の中繋がっている。もう喋れなくていい。オレの声もお前にあげる。

    喉を枯らしたせいで錆びた寝息が時折混ざる。引き寄せて指で髪をすき、白い額にくちづけた。頬を撫でているとうとうとと眠りに落ちた。
    そよそよと足下で草が遊んでいる。顔を上げるといつの間にか目の前に無花果の樹が在った。たわわに実っている。其の中から手に触れたひとつを何ともなしにもぎ採った。
    二つに割ると懐かしい香りが辺りに充満する。白い果肉にひろがる紅い華は激しいのにとても健気だ。実から湯気が立ち昇り、奴を形作った。顔を近ずけると薄い唇でにっこりと笑った。口を開けると奴ごと平らげ、喉を流れていく。俺だけの華。

    ふっと目が覚めた。
    夏の朝日は人を置いてけぼりにして、さっさと顔を出す。まさか!と思って見上げると天井の隙間から見えるのは夜の優しい闇だった。
    ほっと撫で下ろした胸からひゅうと音がした。
    慌てて彼奴にしがみついた。もう一度天井を仰いだ。
    (彼処からオレ達を覗いたらどう見えるのだろう。)
    此奴の胸に頭を預け、腕の中でしがみつき丸まるオレは吸収されていく様に見えているだろうか。だったらいいなぁ。あの魚を思った。
    しがみつく手を離し、彼奴の手に絡めて遊んだ。持ち上げて頬擦りした。ずっとくちづけた。
    起こさない様、妨げない様。
    此の時ばかりは薄っぺらい身体に感謝した。
    彼奴の体温が一気に流れ込み、突き抜ける。
    いくらでも涙が出る。
    嗚呼 なにも知らなくてよかった。
    世界が障子紙で出来ていてよかった。
    嬉しい。こんなにも嬉しい。
    きっと誰も此の嬉しさには達せない。
    唯ひとつの全て。
    嬉しくて嬉しくて嬉しくて嬉しくて・・・
    白みだした空に頬をピシャリと叩かれた。

    目覚めると奴はもう傍には居なかった。
    差す朝日が眩しい。床の温もりの無さに随分と早く立ち去った様だった。朝顔を合わせ、照れてくるくると表情を変える奴を見て笑う悪戯心があったのに残念だ。
    ふと枕元を見ると、千切れた障子紙に書きなぐったどえらい文字が見えた。
    「喰え!」
    見た目にはそぐわない荒々しい筆捌き。
    其の下に竹筒みがあった。開けると恐ろしく不恰好な握り飯がふたつ並んでいた。
    思わず吹き出した。慣れない奴が台所に立ち、更に慣れないことをやったかと思うと笑いたい様ななんとも言えない、腹の中をくすぐられている心地がした。
    ひとつ手に取ると思い切りかぶりついた。
    俺の好物が入っていた。

    軋む床を音を立てずに歩くのは容易ではなかった。風呂敷を開けると竹筒みを取り出し、彼奴の枕元に置いた。ふふふ。一筆添えて。
    もう一度触れたい。髪の一筋でもいい。手が求めた。
    宙で拳を握った。じっと耐えた。
    すっくと立ち上がると振り向かず小屋を後にした。
    歩いて間もないというのに浜辺に着く頃にはすっかり太陽が上がっていた。
    裸足になると強く踏みしめ、指の間から上がってくる砂を眺めた。
    つぅと熱い滴りを内股に感じた。
    母親が腹の子を愛でる様に下腹をさする。
    砂を蹴って海に向かって走った。
    腕を広げると袖が風を孕んで膨らむ。
    高波を全身で受け止めた。


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